ニューヨークのクイーンズ生まれ。12歳の頃にカリフォルニア州に引っ越している。両親は共にミュージシャンであった。母のゲイルはレッド・ホット・チリ・ペッパーズの曲「アンダー・ザ・ブリッジ」で歌声を披露している。
15歳の時に観たチリ・ペッパーズのライブに魅了され、ギターとベース・歌詞をすべて暗記するほどのめり込む。1989年12月、オリジナル・メンバーのギタリスト、ヒレル・スロヴァクが死去し、代役ギタリストも早々にバンドを去っていたチリ・ペッパーズに加入する。
当時18歳のジョンにとって、これが実質的に初のバンド活動であった。加入後は『母乳』、『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』、『ホワッツ・ヒッツ!?』(キャピトル時代のベストアルバム)の各作品に参加している。
1992年の来日公演中に脱退。一時期は半ば隠遁生活を送り、ヘロイン中毒とうつ病に苦しんだ。
1999年、病と薬物中毒を克服してチリ・ペッパーズに復帰。以後は、バンドサウンドの核として活躍。『カリフォルニケイション』、『バイ・ザ・ウェイ』、『グレイティスト・ヒッツ』(ワーナー音源のベストアルバム)、『ライブ・イン・ハイド・パーク』(2004年6月19・20・25日にロンドンにあるハイド・パークで行われたライブの音源化)、『ステイディアム・アーケイディアム』で演奏している。
制作年/2012/07/04
レーベル/RUSH! PRODUCTION/AWDR/LR2
元レッチリギタリスト、脱退の理由は、、
音楽というものは視覚に頼らずに風景をみせてくれることがある。存分に。
それは聞き手のそれぞれの脳が蓄えている膨大な景色の情報をつなぎ合わせてその曲に合う風景を見せてくれているのだと思う。
ジョン フルシアンテという男は、言わずと知れた世界最強バンドのひとつ、RED HOT CHILI PEPPERSの元ギタリストである。
今では、独特な切なさや寂しさ、心のマイナスな部分に心地よく響く「枯れたギター」という特徴で世界三大ギタリストの一人にすら数えられるほどの男である。
(ちなみにあとの二人はジョン メイヤーにデレク・トラックスである!)
白いジミヘンと呼ばれる所以
さて、そんな彼がチリペッパーズ脱退後、初となる今作はある意味奇跡的な作品であるといっても過言ではない。
なぜなら彼は「自身の音楽を探求したい」という理由で今後作品を他の誰かに聞かせるつもりはなかったからだ。
そんな中突然発売が決定した今作はどんな景色をみせてくれるのだろうと喜びが興奮が、期待が高まった。
そしていざCDをセットし、再生ボタンを押すとそこには「枯れたギターが」繰り広げる荒涼とした世界が…
なんてとんでもない!!!
確かにそこには風景が広がっている。しかしそれは今現実にみているような街でもなければ、自然でもない。
そこに広がっているのは普段見上げている宇宙である。その宇宙が眼前に広がっているのである。
懐かしささえ覚えるよな電子音から始まる『In Your Eyes』は、頭が音を理解する速度を段々と超えていき次々と音の表情が変化していく。音が増えていき、ジョンが歌い出せば勢いが増し、だがすぐに落ち着いていく。
そうかと思えばすぐに勢いをとりもどし、そしてギターは枯れていく。やがては星が次々に爆発しているかのような音が聞こえやがてまたギターは枯れていく。もうここまで枯れていけば、それはまるで瑞々しいかのように聞く者の耳を潤していくようである。
『909Day』『Glowe』と立て続けにエレクトロニカ(電子音楽や電子音楽に影響を受けている音楽)やヒップホップ、ありとあらゆる要素を全面に押し出していく姿勢にはもはや過去の栄光は過去の栄光で、新たにジョンが向かっているであろうありのままの今を瞬間的に封じ込ているように感じる。
そこにはいったいどれほどの音楽を聞いてきたのかといくら想像してもまだ足りないほどの情報量が、猥雑にちらばり、整然にならんでいる。
ここまで聞いてひとつ、ただし強く感じることがある。
もはやこのアルバムはジャンルとしてのロックではないということである。
ロックである姿勢は当然ながらに感じるものの、ミクスチャー(様々なジャンル要素をあわせてさせて一つのスタイルにする)などという言葉ではなくクラブミュージックなロックなのである。しかもそれはすごくチープで、だからこそジョンが放つ枯れた世界観が現れるのだと思う。
4曲目の『FM』はっきりと認識する。今作において、ラッパーが参加しているということは非常に重要な要素である。
しかも、参加しているラッパーがラップもできるミュージシャンではなく、ラッパーであるということがだ。
なんとWu-Tang Clan率いるRZAを筆頭にファミリーであるレゲジン・フィン、キネティック9、ラグド モンクといった面々が参加。
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もはやヒップホップである。ロックバンドがやっているヒップホップではなく。それでもギターは泣いている。
そして『In My Light』へ。
ここまで流れていた曲の世界をこの曲ひとつでさらに超越していくようだ。
ひとつの作品でここまで進化していく過程をみられる作品なんてなかなかお耳にかかれないと思う。
RED HOT CHILI PEPPERSというバンドが、ジョン フルシアンテという一人の男が好きであればもちろん、そして今から彼を知っていく人たちにこそ、名声をおきざりにして突き抜けていく音をそばにおいていてほしい。
そう、これはまるで宇宙なのである。この先も広大にひろがっていき、新しい星々が誕生していくそばで次々に死んでいく星たちもいる。そういう物語なのだ。
同じことの繰り返しに嫌気がさしてもなお惰性で繰り返してしまう性質への特効薬なのだ。
暗くて何も見えない日々なら、いっそ得体の知れない、果ても分からない宇宙へと旅立ってみてはどうだろう。
きっぷはお早めに
次の宇宙放浪はもう間もなく。
2012年9月12日には日本先行で『PBX Funicular Intaglio Zone』というあらたな宇宙放浪プランが決まっているのだから。
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