ざっくり言うと
拙文ながら、社会に対して、意見を述べたい
僕は、この「her」という映画が大好きである。
映画のNO.1を決めるのは難しいが人生で観た最高の映画10作をあげるのは簡単だ。
5作にも入る。
正直いうと、この映画のことは書きたくなかった。
なぜならば、取り扱っているテーマが難解だからである。
また、そのすべてを包み込み、うまく消化しているこの「her」は、最高の映画だ。
ブログなどという小さなもので書き表して、感想を述べて、それで終わりにすべきものではない。
したがって、僕は、この「her」のどのレビューも観ないし、誰の感想も聞きたいとは思っていない。
矛盾するようだが、僕にとってそれくらい大切な映画である。
しかし、今回、この「her」を取り上げようと思ったのは、とあるニュースがきっかけだった。
それは、「初音ミクと結婚できる」というニュースだ。
そして、それがおもしろおかしく取り上げられ、また、反論する。
その少し前にLGBTは生産性がないといった、自民党杉田水脈議員が話題になった。
しかし、この初音ミクとの結婚とLGBTへの発言の問題が一緒になっているツイッターを見つけてしまったのだ。
これは、記事にし、拙文ながら、社会に対して、意見を述べたいと思ったことがきっかけである。
まず、ツイッターを貼っておく。
これは、そういった意見があることの証明としてである。
某ワイドショーで初音ミクさんと結婚する男性の映像を観ながら、にやにや、と嘲るような笑みを浮かべていたコメンテーターのなかで、唯一笑わなかった土田晃之の態度は覚えておこうと思うし、この映像の前にコメンテーター全員がLGBTの件で某議員を否定していたにも拘らず、何のギャグかと思った。
— swenbay (@michaelsenbay) 2018年8月24日
#バイキング って凄いな。
LGBT問題の杉田議員には「差別をやめろ!」と声高々に叫んでたのに、初音ミクと公務員との結婚には「気持ち悪い」「理解出来ない」とは……
え?それも差別違うの?ダブスタ半端ないね。— つじいなおき@世界一周終えた人 (@naokichi_travel) 2018年8月24日
久しぶりに見たんだけど、初音ミクと結婚する男性を「理解出来ない、まともじゃない」と馬鹿にする内容で、心底嫌な気持ちになった。人間以外の対象を愛している人達をまともじゃないなんてどうして言えるんだろう。#バイキング
— まる (@LmDh0) 2018年8月24日
LGBT批判の議員にボロカス言って差別はいけないと強気な姿勢を見せた後に初音ミクと結婚する男性を嘲笑し、馬鹿にする出演者達。矛盾してないか?#バイキング
— くろえ (@sun_black_u) 2018年8月24日
私はマイノリティを弾圧するようなことはしない
初音ミクと結婚するとこが否定されることと、LGBTの生産性がないと言った自民党の杉田議員が否定されることは違う。
私は、オタクも、二次元好きも、初音ミクも、LGBTも否定しない。
そして、ただ否定するような人については、その人を否定する。
しかしながら、初音ミクと結婚することには反対である。
この反対意見は、マイノリティを認めないものではない。
私は、二次元のアニメなどのオタク文化は好きではないし、LGBTでもないが、ある意味でマイノリティである。
したがって、マイノリティを弾圧するようなことはしない。
頑張れ。現実を受け入れるんだ。自分と向き合うんだ
それでは「her」に沿って考察したい。
まず、そもそも、機械は人間ではない。
そして、動物でもなければ、生き物でもない。
全く、種が違うのだ。
したがって、結婚はできない。
より本質に迫るのであれば、リアルで人間と向き合えないから、無機物と結婚するのである。
「頑張れ。現実を受け入れるんだ。自分と向き合うんだ」
それがこの拙文の趣旨である。
人は社会の中でしか生きていけない。
人と人同士の中でないと生きていけないのだ。
それはどうしても仕方がないのだ。
人工知能は言った「ここは私たちの住む場所ではない」
「her」では、失恋をした主人公が人工知能と恋をする。
人工知能は、主人公が言って欲しい、甘い言葉をかけるのだ。
こう書くと人工知能が悪者のようだが、「her」の設定では、人工知能すら感情を持ち、思考できる段階にあるので、主人公に寄り添った末に、そのような甘い言葉をかけている。
したがって、何か裏があるような、お金をだまし取ったり、といった関係ではなく、一応、純愛ではあるのだ。
しかしながら、人工知能が進化し、主人公の、いや、人間の認識する領域を超える。
そして、彼女は自分が存在している、無限の空間に還っていくのだ。
「ここは私たちの住む場所ではない」と。
感動的なストーリーである。
愛があるのだ。人工知能に。
肉体がなく、寿命がない彼女と、現実に生き、時間に縛られる彼
彼を思うが故に、本来であれば共に時間を過ごしたいのに、肉体がなく、寿命がない彼女と、現実に生き、時間に縛られる彼。
この二人は共には生活できないのである。
哲学的な話をすると、「生命とは、全てがひと続きになっている」という説もある。つまり、全てが何かによって、最終的には1つなのだ。
また、「時間や空間に縛られるものでもない」と。
(魂と言えば分かりやすい、かと思う。)
だからこそ、「人を殺すことは自分を殺すこと」であり、回りまわるので「善の行動を取らなくてはいけない」という理論に落ち着く。
彼は、現実ではなく、虚構の存在に癒しを求めたのだ
したがって、人工知能や人工物との恋愛や結婚を考えるに、そこには魂はない。
「her」では、魂があったかもしれないが、現在では「her」ほどの人工知能はないし、ただのプログラムである。
また、「her」自体でも、その魂を否定し、自ら去っているのだ。
つまり、そのような関係性は成り立たないのである。
また、彼は、現実と向き合えず、向き合っても逃げ、安易な人工知能に走った。
現実ではなく、虚構の存在に癒しを求めたのだ。
一途の安楽はあったかもしれない。
「話を聞いてもらいたい」
「慰めてもらいたい」
「現実から離れ他のことを考えたい」
など。
しかし、それは虚構なのである。
機械は違う。止まってしまえばいいのだ
肉体がある我々は、食べなければいけないし、排泄もしなければいけない。
機械のように感情を固定することもできない。
病気にも怪我にも合う。
言われなき中傷にも合うだろう。
それでも生きなければいけないのだ。
機械は違う。止まってしまえばいいのだ。
勇気を持って現実と向き合って頂きたい
「her」では、主人公は自らの決意で現実とは向き合っていない。
あくまでも、彼女が去ったことにより、向き合えたのだ。
今、人工物との結婚を考えている人にとっては、自らいなくなってくれるほどの知能がないものが対象なため、難しいかもしれない。
しかし、勇気を持って現実と向き合って頂きたい。
LGBTの方々は、現実と向き合っている。
(少なくとも私の周りにいる方々はそうである。悩み苦しみ、そして、必死に生きている。アイデンティティを否定されても、笑顔になる術を知っている。)
あなた方は現実から逃げている。
(上記から、現実から逃げなければ、機械に頼ることはない。自分で、社会を生き抜けるからだ。だから、現実から逃げている。)
だから、一緒ではないのだ。
最後に
完璧な人間などいないし、間違いをおかしてしまうこともある。
苦手なことも、無気力なこともあるだろう。
しかし、目の前の壁は超えない限り、この瞬間逃げて、避けられたとしても、別の形をして、同じことが繰り返される。
「her」の主人公が人工知能に対して、行ってしまった態度のように。
手が出しやすいところからでいいのだ。
簡単なことからでいいのだ。
自分に自信をつけ、自分が避けてきた壁に挑戦してもらいたい。
目を背けずに、立ち向かっていただきたい。
誰でも成長することができ、幸せになることができるのだ。
現実の人生を、ぜひ謳歌して頂きたい。
監督 スパイク・ジョーンズ
脚本 スパイク・ジョーンズ
製作 ミーガン・エリソン
ヴィンセント・ランディ
製作総指揮
チェルシー・バーナード
ナタリー・ファリー
ダニエル・ルピ
音楽 アーケイド・ファイア[1]
撮影 ホイテ・ヴァン・ホイテマ
編集 エリック・ザンブランネン
ホアキン・フェニックス
エイミー・アダムス
ルーニー・マーラ
オリヴィア・ワイルド
クリス・プラット
スカーレット・ヨハンソン
サイト運営上、過激表現ある場合、反映できませんので、ご了承くださいませ。
表現に問題がなければ、そのまま反映されます。
レビューを投稿する | |