大ヒット映画「カメラを止めるな!」口コミから広がったヒットの要因を徹底解説

「カメラを止めるな!」はなぜここまでヒットしたのか。
様々な考察がされている。

考察の主はSNSでの口コミの拡散だろう。

私もそれには同意だ。

しかしながら、なぜ、「SNSでの口コミ」が広がったかが、わかっていない。
これは、インディーズ映画をわかっていないからだ。

お杉は情報通から色々と聞いたので、ストレスシネマの読者が居酒屋で情報通のように話せるように、小ネタをお伝えしようと思う。

カメラを止めるな!の映画レビューはこちらです。
カメラを止めるな!|映画人だけが特別ではない

「カメラを止めるな!」は低予算のインディーズ映画

まず、「カメラを止めるな!」は低予算のインディーズ映画である。
インディーズ映画とは何かを解説しなければいけない。
これがわからないと、「カメラを止めるな!」のヒットした本質がわからないからだ。

予算が違うため映画館で観ることができない

映画の仕組みや方法など、様々違いはあるが、インディーズ映画と一般の映画との一番の違いは、破格の予算だろう。
また、配給、興行が約束されていない点だ。
つまり、映画館でかけても、世の中に知られていないから、予算を回収できる見込みがないのだ。

したがって、配給はなかなかうまくいかない。
映画館で観る機会が少なくなる。
映画館が、「うちでかけますよ」と言ってくれないのだ。

また、制作会社に力がないため、というよりも、個人や小規模の会社のため、「配給」「興行」でゴリ押しができない。
「あなたの映画かけなくても、売れるので」
で、終わりである。

無名キャストがほとんど

次に、キャストが無名である。
インディーズ映画で名前を知ってるキャストが出てもせいぜい数名だろう。
名前を知ってる人がたくさん出たインディーズ映画もある。
しかしながら「カメラを止めるな!」ほどは成功していない。

予算のある映画と比較すると、「検察側の罪人」が「カメラを止めるな!」より少し上の興行成績になっている。

観に来てる人のほとんどは、
「木村拓哉」ファン
「二宮和也」ファン
「吉高由里子」ファン
である。

こうなると、映画館も「うちでかけましょう」となる。
つまり、固定ファンがわかれば、観に来る人数がある程度計算できるのだ。

あとは、そのファン以外に訴求できればヒット映画になる。

映画の「制作費」と「配給・宣伝費」は同じくらいの予算がかかる

しかし、インディーズ映画は基本的に興行ができない。
なぜならば、予算がないのだ。

映画を作るときに、「制作費」と「配給・宣伝費」は同じくらい予算がかかると言われている。

「カメラを止めるな!」の制作費は300万円ということであるから、「配給・宣伝費」も300万円しかないということになる。

300万円ではテレビCMはもちろん無理だ。
そして、ポスター、チラシ、トレーラー、映画祭の交通費で、予算を使い果たしてしまう。

インディーズ映画の「配給」「興行」はこのような状況下で行われているのである。

では、どのように「映画」を周知するのか。

映画祭で賞を取るしかないのだ。

インディーズ映画成功のカギは映画祭

インディーズ映画の中で、二大映画祭と言われるものがある。
「ぴあフィルムフェスティバル」と「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」である。
ここで賞を取れば、スタッフ・キャストは商業ベースに乗ることができる。
特に監督はここから商業監督として、一気に駆け上がることができるのだ。

映画祭で受賞者

ちなみに二つの映画祭で受賞を期に(もしくは前後で)成功した監督を紹介する。

ぴあフィルムフェスティバル「PFFアワード入選者」
石井裕也2007年「剥き出しにっぽん」
(「舟を編む」「ぼくたちの家族」「バンクーバーの朝日」)

岩田ユキ2004年「新ここからの景」
(「指輪をはめたい」)

タナダユキ2001年「モル」
(「百万円と苦虫女」「ふがいない僕は空を見た」
「四十九日のレシピ」「ロマンス」「お父さんと伊藤さん」)

李相日2000年「青〜chong」
(「69 sixty nine」「スクラップ・ヘブン」「フラガール」
「悪人」「許されざる者」「映画」「ブルーハーツが聴こえる」)

他、深川栄洋、豊島圭介、佐藤信介、中村義洋、古厩智之、矢口史靖など様々な監督を輩出。

ゆうばり国際ファンタスティック映画祭
第19回(2009年)『SR サイタマノラッパー』監督:入江悠
(「ジョーカー・ゲーム」「太陽」「22年目の告白 -私が殺人犯です-」
「ビジランテ」「みんな!エスパーだよ!」※園子温、月川翔、鈴木太一(2012年「くそガキの告白」で審査員特別賞)

その他、吉田浩太、寒竹ゆり、鈴木太一、西村喜廣、井口昇など様々な監督を輩出。

数々の監督が商業ベースに乗っていることがわかる。
これらはインディーズ映画の登竜門として位置している。

映画祭で賞を取るかどうかが監督としての成功のカギ

ここで、賞を取れなければ、取れるまで自費で映画を撮り続けるか、諦めるかである。
賞を取るかどうか。
もしくは、助監督から虎視眈々と出世していくしかない。

キャストで言えば、劇をやりながら、自称監督と飲み会に行き、インディーズ映画を観て、仲良くなって、ツテで映画に出る。
当たればラッキー。
当たらなければ次に出れるように、仲良くなる。

これがインディーズ映画なのである。

監督、スタッフ、キャストの熱量のみで作って、当たることを願っているのだ。

だから、私は、「誰も売れない映画スタッフや役者、アイドルの頑張りが観たくて映画に行っているわけではない」と言ったのだ。

「カメラを止めるな!」はENBUゼミナールのワークショップ

話を「カメラを止めるな!」に戻す。

「カメラを止めるな!」はENBUゼミナールとは、映画の専門学校である。
映画関係のスタッフで働きたい人、俳優になりたい人が行く学校だ。
「カメラを止めるな!」はその中のワークショップの一環で作られたものである。

つまり、「監督の映画に出れる代わりにお金を払ってワークショップに通ってください。映画の出演費は無しで」というものである。
(出演費はあったかもしれないが、それは実際にワークショップを受けた人しかわからない)

これが良い悪いではない。
ビジネスで需要と供給があっているから、それでいいのだ。
その上で、「カメラを止めるな!」は、このような状況であったと言うことを理解して頂ければと思う。

ヒット要因は芸能人・監督が口コミしたから

では、なぜ、ここまでヒットしたのか。
やっと本題に入る。

これは、「SNSの口コミで広がった」という、様々な方がされている考察と変わらない。

しかし、一番大きなヒットの要因は、芸能人・監督が口コミしたからである。
そして、賞を取ったからである。

ENBUゼミナールの講師には商業監督、または、インディーズ映画業界で有名な監督が沢山いる。
彼らが、「いい!」と言ったのだ。

それをツテでお願いされ、観に行ったスタッフ・俳優は「つまらない」とは言えない。

観に来てと言われた「カメラを止めるな!」スタッフ・キャストの友人は「つまらない」とは言えない。

それが波及して行ったのだ。

つまり、売れないスタッフやキャストが、自分を売り込みたいために「いい!」と言う。
自分も出たかったという意味において「いい!」という。
面白くなくてもとりあえず「いい!」といえば関係が悪くならない。

だから、「いい!」という口コミが増えたのだ。

そして、皆が知る芸能人たちがこぞって「いい!」と言った。
映画に人気が出れば、好きと言った彼らは、イベントやそのほかで仕事が来る。

小柳ルミ子がロシアW杯でリポーターをやった手法と一緒だ。
メッシ好きをアピールしまくって、リポーターの仕事を取った。

「カメラを止めるな!」ファンを公言し、特別番組に呼ばれたタレントがいかにいたか。
これが芸能界の仕組みである。

ここが、他の方が考察していない私独自の視点である。

これは、インディーズ映画の映画祭に行かなければ、肌で感じなければわからない点である。

「インディーズ映画なのに、この展開はすごい!」がヒット要因

次に、広がった映画関係者以外の方々だが、純粋に「面白い」と思われたはずだ。

先日も、「映画がおもしろい、おもしろくないは、個人の自由だから、それを否定するのはおかしい」と言われた。
至極ごもっともだ。

しかしながら、文章には裏がある。
伝えている人間がいるのだ。

一般の方々を否定しても、意味がない。
それは、映画という「ビジネス」は一般の方々が支払う金で成り立つからである。

そういった意味で否定しない。

しかしながら、「大衆ウケ」を考える必要はある。

「君の名は」のヒット要因は、「若い層にマッチしたからだ」という記事を読んだ。
「YouTubeにあるような、次々に繰り出される展開の早さ、カット変わりの速さが、若い層にマッチした」と。
確かにその通りだと思う。

そして、その要因は「カメラを止めるな!」にも十分当てはまる。
前半のワンカットはYouTubeを無意識にでも感じさせる素人感がある。

そして、「カメラを止めるな!」はインディーズ映画という点で、ドラマで言えば、「月9」ではなく、「深夜ドラマ」だ。

映像で言えば、「プロが作った本格的な映画」ではなく、「YouTube」の感覚だ。
「映像の綺麗さ」、「キャストの有名無名」は期待しない。

その上で、「インディーズ映画なのに、この展開はすごい!」がヒット要因なのである。
YouTubeに慣れた層が観て、「YouTubeにはない面白い動画だ!」がヒット要因なのである。
だから口コミ「おもしろい!」となるのである。

そして、ご批判いただいたように、「観る側の自由」が叫ばれるのだ。

「インディーズ映画のくせに1800円を取ること」そこを否定したのである

私は、YouTubeの動画であれば、否定しない。
私の作品への否定は、インディーズ映画であるのにもかかわらず、「検察側の罪人」と同じ1800円を取るところだ。
「スターウォーズ」と同じ1800円を取るところだ。
「セブン」はAmazon primeでほぼタダで観た。

「インディーズ映画のくせに1800円を取ること」
そこを否定したのである。

YouTubeの動画と質が変わらないのに、普通にお金を取ったところに腹が立っているのだ。

文字面のみ追えば、ただの否定だ。
しかし、同じ1800円であるなら、期待値も、予算のある、有名人が出ている映画と同じ扱いになる。

これが1000円なら「頑張ったね」と言えたのだ。
無料だったら「おもしろかった」と言えるのだ。

映画はビジネスである以上「予算がないから」は通用しない

先から述べているように映画は「ビジネス」だ。

商業の波にのった瞬間に、制作側の「予算がないから」は通用しない。
「ビジネス」だからである。

「低予算のインディーズ映画なので、大目に観てください」は通用しないのだ。

この視点に立って私の「カメラを止めるな!」の解説を読んで頂ければ納得するはずだ。

カメラを止めるな!|映画人だけが特別ではない

最後に

この映画が今後どのような展開になるかはわからないし、特に考えることもしない。

しかしながら、監督やキャストの今後の動きには注目したいと思う。
「同じようにヒットすることができるか」
「今見られていない荒が表に出ないか」を。

その時、初めて、彼らの実力が、世間の目にさらされ、本当の意味で理解されるだろう。

iccoの感想
映画がビジネスである以上、戦略的に広報活動をしていくのは鉄則です。

この作品はいろんなラッキーが積み重なって無名なインディース映画が、現代特有のSNSを通じた口コミでの広がりから、驚異的な大ヒットという筋書きなのかなぁと思っていました。

ENBUゼミナール関係者の商業監督、その関係者にお願いされて映画を観に行った映画業界のスタッフや俳優たちは「つまらない」とは言えない。

自分を売り込みたい映画業界関係者が「面白い」と評価する。さらに、芸能人がこぞって評価をする。それぞれの利益のために。

このお杉の意見は、中々に鋭いですね。もちろん、本気で面白いって思った関係者や芸能人だっていると思います。

ここまで有名になる前から「面白い!」と言ってた、指原莉乃さんや斎藤工さんは本気で熱く語っていました。

それにしても、製作費300万円で興行収入16億円超えは、ブレアウィッチプロジェクトなみにすごいことです。邦画史上初の快挙と言っていいのではないでしょうか。

icco
小柳ルミ子は本気でメッシを狙ってると思います。

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 3 レビュー

逆張り

壁に耳あり障子にメアリー!

ワールドカップのノリですね

作品の出来なんかでどうでもいいんだと思います。みんなで騒ぎたい。一体感を持ちたい。そんなところです。みんなが傑作だと言ってるとそう思ちゃう(笑)困るのは異論を許さない雰囲気があることですね。日本人の特徴だと思います。ドーと行きますね。結構怖いです(笑)。本当にいい映画は人が入ってないですよ。わかりやすくないですからね。

コメントありがとうございます!
まさにおっしゃる通りだと思います。
これが少しでも感動するような映画であればよかったんですが。
何も感動しない、何も残らないものなので。
残念極まりないですね。

by からしにこぶBlank Business Name
究極の答え

テイク42が超次元ループの入り口だったのでしょう。奇跡としか言いようがない。
監督もラッキー出演者もラッキー観客もラッキー!そうでない方はそれなりに楽しんで。

そうですね、それなりに楽しめる作品です笑



カメラを止めるな!

ABOUTこの記事をかいた人

お杉

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