気のせいとは思えない・・・邦画の謎
皆さんも一度はそんなこと思ったことありませんか?
ハリウッド映画に比べて、なんか映像が暗い。妙に黒い。
多少、映画が好きな人なら、ヨーロッパ方面の映画、インド、アジアと見比べても明らかに邦画の画質は暗い感じがすることが分かると思います。
なぜ?どうして?日本が暗いから?アメリカとかの方が太陽の光が強いの?
だったらなんで、日本で撮影されたハリウッド映画は明るいのか?
ロスト・イン・トランスレーション、WASABI、ワイルドスピードなどなど。
そこで、ストレスシネマで分かりやすく解明していきます。
理由1:予算
映画を撮影するとなると、撮影に大きなセットを組んだり大規模なロケーションを敢行します。
その際は、巨大な照明を用意して撮影場所を照らします。フィルムは光に反応するので、光があればあるほど映像は綺麗に映ります。
邦画の予算は、洋画の予算に比べてもちろん破格の予算ですから、照明機材がたっぷりとは用意できません。
理由2:権限
まぁ、監督にもよるとは思いますが、邦画の場合、監督がカメラワークなどの全権限を強く持ちます。
しかし、ハリウッドでは、撮影監督制度が確立されていて、カメラマンがカメラとレンズ、照明を指揮して自分の作りたい映像を撮影していきます。結果、カメラマンや照明技師のスキルの差が生まれてしまうと。
理由3:職人気質
フィルムで撮影された映像ですから、現像を行います。
ハリウッドのスタッフも認めるほど、日本の現像はとても優秀で綺麗に現像してくれるそうです、さすが日本、手先が器用、A型が多い国。
ただ、カメラマンの要求は聞き入れてくれないようで、技術者として、自分たちの優れていると思いこんだ現像を行ってしまう傾向が強くあります。さすがは島国、視野が狭い。
それに比べて、ハリウッドでは、カメラマンの意図通りに、現像されます。
日本で撮影されたハリウッド映画の多くは、日本での現像を避けて未現像のままフィルムをアメリカに持ち帰り、アメリカで現像が行われます。
アメリカの現像所のほうがカメラマンの自由な発想に対応してくれるからです。さすがは欧米、合理的。
理由4:マスターデータ
皆さんはipodとか、sonyのウォークマンとかお持ちですか?
もしくは、レンタルしてきたCDをパソコンでコピーして焼いたりしたことあるでしょうか?
そういった大半の方が経験したことあると思いますが、音楽データってコピーすると音質落ちますよね。
それが何故かという細かい技術の話はなしとして、とにかくマスターデータってコピーすればするほど、劣化して悪くなるんです。オリジナルにはコピーは勝てません。
それは映像でも同じことです。
音楽の場合、音が歪んだり、低音がざらついたりしますよね。
これが、映像の場合だと、明度や彩度が落ち、黒つぶれがおこるわけです。
邦画は、マスターデータをコピーして劇場に配送します。字幕作業が入るとさらに1世代画質が落ちます。
しかし、ハリウッドは、各国語字幕版のデジタルマスターを作り、それをフィルムにします。なので画質が落ちないんですね。
まとめると
お金や技術の問題もありますが、結局のところ映画関係者の意識が大きく関わっているようです。
映画一本上映までするとなると、制作の段階で大きな会社が何社も絡んでくるわけで、そういった会社の権限をもったお偉方は年配の方が多いでしょう。
そういった世代の意識を内側の美意識から、映画を観に来る観客の求める視点へと移行していけばおのずと邦画の画質の暗さも改善されてくるのかと。
配給側としては、より多くの観客に観に来てもらって儲けたい。
制作側としては、納得のいく作品(映像)を作りたい。
ここまで書いておいてなんですが、最近の邦画って昔に比べて映像明るい気がしませんか?
若い世代の台頭が色々な現場で起きているのではないでしょうか。
ちなみに編集長の私は、邦画は暗めの映像が好きなんですけどね(笑)
「映画関係者の意識」は大いに関わっていると思います。
しかし、iccoの視点はフィルム時代の話。
昨今の日本映画では、ほとんどフィルムでは撮影されていません。
逆に「フィルムで撮影した」となると盛り上がるほど。
今では、ほとんどがデジタルです。
ほとんどのカメラがフィルムほど照明量を必要としなくなるため、「日本映画だけが暗くなる」ことは予算とは関係してこなくなります。
デジタルデータはもちろん劣化しますが、見た目ではほとんどわかりません。
めちゃくちゃ引き伸ばし、近くで見たときにわかるくらいの差。
では、何が暗い印象にしているか。
それは、「ジャパニーズトーン」と言われるものです。
日本を代表する写真家の先生方が作ってきたトーンです。
日本の映画も、もちろんそれらが影響しています。
例えば、篠山紀信や荒木経惟。
著作権があるので、載せられませんが、検索していただければわかります。
「暗い!」という印象を持つのでは?
これが「ジャパニーズトーン」です。
海外の視点から日本をみるとわかりやすくなります。
松田優作や高倉健、マイケル・ダグラスが出演した「ブラック・レイン」
ブラッドビッドや役所広司、菊地凛子が出演した「バベル」
これらは、ジャパニーズトーンを再現しています。
つまり、「暗い」日本のイメージです。
しかし、全体が暗いわけではないのです。
「暗いシーンが印象的」だから「日本の映画は暗い」というイメージになります。
つまりiccoの言うように「映画関係者の意識」は大いに関わっていると思います。
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個人的には、朝に撮影しているせいだと思います。
ロケーション撮影が朝しか認められないとか、日本は規制が多いので、早朝に撮っているんじゃないかしら?
なるほど!その視点はありませんでした。アメリカなんかでは映画の撮影の為にNYのメイン通りを封鎖したりするらしいですし。
日本とアメリカでは、映画を作る側に対するリスペクトが違うんでしょうかね。
貴重なご意見ありがとうございます。