自由の代償を耳から感じよ。
横山健 『The Cost Of My Freedom』
製作年/2004/02/18
収録時間/33分4秒
レーベル/PIZZA OF DEATH
伝説から自由へ
1991年に結成、そして2000年に活動休止、2011年にまさかの活動再開という世紀をまたにかけ、世間を、若人の心を、体を騒がせてきた伝説的バンドHi-STANDARDのギタリストである横山健。
活動休止から4年の沈黙を破り発表された個人名義のアルバム『The Cost Of My Freedom』
もう一言でくくってしまおう。
それはHi-STANDARDそのもののサウンドである。
Hi-STANDARDそのもののサウンドなのだ。
それを研磨し、新たな装飾が施され横山健のサウンドとして新しい光を放つ。
新しい光なのだが、そうなのだが、やはりどこか足りない。
あれほどの功績を音楽業界に残した伝説的バンドのサウンドに新しい空気が入ったというのに足りないところがあるということはいけないことではないのか。
否。
そこにこそ、体を躍らせるだけではなく、染み渡っていく要素があるように感じる。
きっとそれこそがアルバムタイトルである『The Cost Of My Freedom』、つまり自由の代償ではないかと思う。
音楽が表現する一人の人間性
アルバム全編を通して、孤独であることを告白すると同時に、いつも彼のそばにある大事な何か(彼の大事な人たちであったり、もちろん聞き手も含まれているだろう)について歌われている。
そこには人であるが故の葛藤がありありと綴られていて、こんなにも一人の人間の生き方が垣間見える音楽もそうそうないのではないだろうか。
偽りや脚色はなく、かといって曝け出すことに誤った美徳をおぼえるような恥ずかしさもない。
人には好みも気分もある。
だからこそ、音楽そのもが聞くときは選ばれるかもしれないが、それでも生活に寄り添う音楽であることは間違いない。
本作にはメッセージ性の強い言葉がたくさん含まれている。
しかし、作品的にメッセージ性のある作品とは思えない。
それは前述した一人の人間(横山健)の生き方が作品になっているからだ。
彼の苦悩は、喜びは彼にしかわからない。
そこにこそ足りない何かがある。
それは聞き手自身である。
横山健の苦悩や喜びや葛藤が彼にしか分からないのであれば、聞き手のそれも聞き手にしか分からない。
そんな楽曲だからこそ何度も聴いてしまうのかもしれない。
それは決して彼とあなたに物理的な、精神的な境があるからではなく
個人にしか分からないことであるのに共有できるという矛盾が真実であるからだろう。
きっとその矛盾した真実は自由の代償の果てに得られるものだろう。
まだまだツアーも残ってます
また2012年11月21日にニューアルバム『Best Wishes』が発売されレコ発ツアーも真っ最中。
しかし、ツアーも各地盛り上がっていることだろう。
一人で聞いていてももりあがれるし、友人たちと聞いていても当然盛り上がる。
それがツアーとなれば…各地を追っかけて廻ればずっとお祭り気分でいられるかもしれない。
今年も残すところあとわずかとなった。
今年を振り返り、来年の自分を創っていくためにもこういうアルバムは大切な一枚になるかもしれない。

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