すでにステージ4まで進んでおり、残される家族のため、そして人生の総括のため、彼が最後のプロジェクトとして課したのは「自らの死の段取り」と、その集大成ともいえる“エンディングノート”の作成だった。やがてガン発覚から半年後、急に訪れた最期。果たして彼は人生最大の一大プロジェクトを無事に成し遂げることができたのか。そして残された家族は……。
制作年/2011年
制作国/日本
公開日/2011/10/01
上映時間/89分
配給/ビターズ・エンド
死ぬまでにしたい10のこと
四十数年、会社に勤めあげ、定年退職をした矢先、末期がんの宣告。
サラリーマン時代の信条であった「段取り命」を、終活と名付けられた、自身最後の瞬間まで掲げ、ありのままをただ映しあげたドキュメンタリー映画。
主人公である、おじさん。そしてこの映画の監督はその実の娘さん。
さらには、プロデューサーが、是枝裕和(結構有名な邦画の監督)さん。
死ぬまでにしたい10のことって映画のノンフィクション版。
余命宣告
冒頭から、がん宣告を受けて5分後の素の表情をがっつりとアップで見せ、コミカルなBGM。
ほんとに娘が撮ってるのか・・こんな素の表情。。。っと思っていると娘(監督)の声でナレーション。
古き良き時代から、ひとつ進みバブル、そしてバブル崩壊と日本社会のうねりのなかでサラリーマンとして生きた一人の人間の生き様が淡々と流れ、
生き生きと働いていたことが、主人公の笑顔からありありと観てとれ、破顔一笑と青春時代の写真と共に紹介された若き頃の映像。
これを撮り、世に出した監督はどんな気持ちなんだろうか?
昔、葬式は人を殺す儀式だとゆう言葉を聞いたことがあった。
しかし、この映画の主人公、まるで悲哀など微塵もなくただ淡々と自身の葬儀の準備を段取り、葬儀の参拝者を段取り、式場を念入りに段取り、死ぬまでにしたいことを段取り、そして、そのすべてを見事にやってのける。どんなに完璧に段取りをしたとしても、想定外のことが起こるのが本番。故に準備をしすぎるとゆうことはない。
その言葉通り、いよいよ死が迫り、切迫した状況のなか、想定外のトラブルが起こる。困惑し悲壮感漂う家族に囲まれながら、主人公だけは平然と、「そんなこともあると思って準備しておいた」とプランBを発表する。
人生のエンディングを前にした人間なのである。はずなのである。そしてノンフィクションのドキュメンタリー映画なのである。正直びっくりなのである。
死に対する主人公の姿勢が、何より彼の生き様を物語っており、一人の人生において何が重要か、何が本当に大切なのかを確固として掴んだ者の世界の高さがそこにあった。
いよいよ臨終を迎え、最後に妻に言った言葉、妻の帰す言葉。言葉を超えたそれ。
昏睡状態に陥り、言葉も発せなくなった時、孫達が遠くアメリカから駆け付ける。すると当たり前のように体は起き上がり孫達をしっかりと見つめ、「ありがとう、いい子になるんだよ」と。
上映終わっちゃったけどね、、
映像の力、とゆうか映画の力。映画館で観るとその純粋な映画の力がそのまま押し寄せる。
最後に夕日をただ静かに見つめるあの瞳。
葬儀は段取り通り行われ、主人公の残したエンディングノートには残された妻への残りの人生の為の段取りが記されていた。
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